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精神衛生の二つの課題《精神病質と精神病》—昭和38年精神衛生実態調査から
大谷 藤郎
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1厚生省公衆衛生局精神衛生課
pp.40-43
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912208
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いわゆる変質者
昨年は暗い話題の多い年であった。吉展ちゃん事件であるとか,狭山の女高生殺し事件,とうとう年末にはケネディ大統領の暗殺事件までおこった。その他小さい(?)兇悪事件を数えあげだしたら,きりがないくらいだ。そのたびに,罪が変質者ということに帰せられて,「狂人を放置しておくのはどういうわけか」とか「変質者」という悪者を社会から葬むってしまえばよいというような議論までとびだすいきおいだった。
ケネディ大統領の殺人犯といわれ,ダラス警察の地下室で衆人環視のなかで,暗黒街のボスにあっけなく消されてしまったオズワルドなども,そのように報道されている。たとえば,ニュースウィークによれば,学校をずる休みして少年審判所に送致された13歳のときに,精神鑑定が行なわれていて,「受動的であるが攻撃的傾向の分裂症的性格」で,「表面は物静かであるが,内面は怒りにもえているようだ」と報告されている。
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