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採血のポイント—生化学的検査を中心として
阿部 正和
1
,
杉浦 耀子
1
1東京慈恵会医科大学第二生理学教室
pp.88-93
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661912227
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■いとぐち
血液の検査は日常もっとも頻繁に行なわれる臨床検査のひとつとなっています。それは,血液が酸素や栄養物を組織に供給し,組織でつくられた炭酸ガスや老廃物を排泄するのに重要であるということにもよりますが,そればかりでなく,体がいつも正常な働きを営むためには血液それ自身がいつも一定の至適な組成を有していなければならないということにもよります。ひとたび私たちの体が病気にかかると,その病変に相応した変化が血液に鋭敏に反映してくるのですから,各種の血液の検査を行なうことは病気の診断に役立つばかりでなく,病気の経過をみたり,あるいは治療方針をたてたり,さらには治療効果を判定したりするためにも重要なことです。
ところで,血液の検査は,赤血球や白血球や血小板などの血液の有形成分を対象としたいわゆる血液学的検査のほかに,血液とくに血漿中の化学的成分を調べる生化学的検査,あるいは血液型やワッセルマン反応,あるいは各種の血清反応などを行なう血清学的検査,および,病原体の検出や感染によって体内に産生された抗体について検討する細菌学的・免疫学的検査の4つの分野にわけられます。ここでは,それらの血液検査のうちでも,とくに生化学的検査を主要な目的とした場合の静脈からの採血方法と,それに引き続いて必要な血液の処理のしかた,および検体を検査室に提出してから正しい検査成績を入手するまでに必要な知識について述べることにします。
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