特集 地域精神衛生活動の進めかた
資料
昭和38年度精神衛生実態調査とその意義
進藤 隆夫
1
1国立公衆衛生院精神衛生室
pp.119-121
発行日 1968年2月15日
Published Date 1968/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203627
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昭和29年度の調査から9年目に行なわれた38年度の精神衛生実態調査は四つの大きな意義をもつ。第1は精神障害者数の全国推計を行ない,有病率を病種別,性別,年齢別で明らかにしたこと(第1表)。第2は社会の変化と精神医学の画期的な進歩が精神障害者の実態にどのような変化をあたえたかを明らかにしたこと。第3は精神障害と社会的経済的因子との関係を明らかにしたこと。第4は精神医学の進歩が有効な地域精神衛生対策と結びつけば精神障害者の社会復帰を多大に促進する可能性があることを明らかにしたことである。
まず第1の点からのべると精神障害者の全国推計は総計で124万,そのうち精神病は57万,精薄は40万,その他は27万であった。ここで精神病には精神分裂病,躁うつ病,てんかん,脳器質性のものなどが含まれる。精薄には白痴と痴愚が含まれるがろ鈍は含まない。その他は精神病質や神経症などが含まれる。性別では男で1.41%,女で1.18%で男に多かった。年齢別では原則として高年齢ほど有病率が高かった。10〜19歳では精薄が61%,精神分裂病その他が22%をしめたが,30歳台では精薄が22%,精神分裂病その他が48%をしめた。60歳以上では精神分裂病その他が12%,脳器質性精神障害者が60%をしめた(第1図)。
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