連載 保健婦と患者心理・8
在宅患者の保健指導のために
精神病質型患者との対面
加藤 千代司
1
1岩手県立盛岡短大
pp.65-69
発行日 1967年9月10日
Published Date 1967/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662204028
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精神病質型患者を一言で定義することは困難である。通常「変り者」とか「性格異常者」などと呼ばれる人々は多くはこの型に属する場合が多いようである。一般にこの患者には道徳性の発達に欠陥がある場合がみられ犯罪につらなるようなこともあり,世に「凶悪犯罪者」と呼ばれる人びとは,この精神病質であることが多いのである。この患者のしめす行動は多様でなかなか明確にその全体を捉むことが困難であり,この型の患者に対面する保健婦は人間とはかくも誠実性のないものかと絶望さえ感ずるのである。
しかし,反面,この型の人は感受性が強く普通人では考えおよばないような鋭い創造力をもち優れた文学作品なども書くばあいもある。現代の若い人達の間に人気のある作家に太宰治があるが,この人なども,この類型に属する作家であるといわれている。
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