巻頭言
精神病質からパーソナリティー障害へ
辰沼 利彦
1
1松見病院
pp.4-5
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903373
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差別用語をなくせといったら,なにを今更と言われるに違いないが,とかく精神科の用語はその性質上,差別感や侮蔑感をもって使われることが多い。しかしそれだけでなく,実際に専門家といわず,素人といわず,すべての人達に過去において(そして一部は現在でも)精神障害に対する偏見があったことは確かであり,精神科用語にそれが反映していなかったとは言えない。それを正すためもあって日本精神神経学会では用語委員会が検討を重ねてはきたが,まだ十分とは言えない。新しい言葉を造るのは容易ではないが,特殊な専門家だけが必要とするような言葉ならともかく,一般の人も接するような診断名,症状名などは,なるべく誤解されないような,そしていやな感じのない言葉に置き換えるのが良い。言葉を改めることはそれによってみずからの姿勢を正すことにもなる。
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