研究と報告【投稿】
退院措置の適用範囲とその限界—特に違法患者の場合
臼田 正堅
1
1国立東京第二病院
pp.96-99
発行日 1975年2月1日
Published Date 1975/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541205564
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病院・療養所等の医療施設に入院(所)している患者を退院させることができるのは,通常一般的に該疾病が治癒または軽快したためその治療の必要性がないと医学的に認められ,診断された場合である.そして,この場合は,患者が入院(所)中遵守しなければならないいわゆる医療上の義務を守っていたために疾病の治療効果があったからである.
ところが,該患者が遵守すべき医療上の義務に違反したために,その義務違反・違法行為患者を医療施設に留め置くことができず,やむをえず治療なかばにして退院(所)命令の措置をとらざるをえない事情が存在する場合,いかにして適法かつ適正に解決すべきなのか.その違法患者の退院(所)命令措置のとることができる違法要件と基準,退院措置の適用,ならびに適法性,そして基本的人権の関係について,その退院措置の適用範囲とその限界について,医療事故紛争の事件判例をまじえながら以下にその概要を記し,問題の解決処理と防止の一助に寄与する.
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