Japanese
English
綜説
腹壁冷膿瘍—殊にその発生機序について
On the Pathogenesis of the Cold Abscess of Abdominal Wall
岩井 芳次郞
1
,
山下 九三夫
1
,
木村 信良
1
Yoshijiro IWAI
1
,
Kumio YAMASHITA
1
,
Nobuyoshi KIMURA
1
1國立東京第一病院外科
1The First National Hospital of Tokyo
pp.133-136
発行日 1953年3月20日
Published Date 1953/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407201208
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
まえがき
筋肉結核の発生機序は古くから興味がもたれ,隣接器官の結核から二次的に生ずるとなすもの(Virchow,Zen—ker,Ostendorf)と結核巣から血行性にいわゆる原発性筋肉結核を発生するとみなすもの(Habermaas u. Mü—ller, Lanz u. de Quervain)との2説があつたが大井1)はClairmont,Winterstin u. Dimtza2)氏等が68歳男子の右前膊屈側及び右大腿伸側の結核性筋肉膿瘍の患者で,自家膿汁療法の目的のため,右大腿膿瘍から得た膿汁5ccを左大腿伸側に注射した結果発生した結核菌の直接接種による眞性原発性筋肉の1例を報告した事にかんがみ,筋肉結核を表1の樣に,原発性,轉移性,波及性と分類する事を提唱した.
腹壁筋肉結核に関しては,最近解剖学的見地から淋巴行性発生が注目されるようになり,特に腹壁淋巴節が重要な役割をなすものと見られるように到つた3)4).然しながらその考察に於ても,病理組織学的檢索が未だ充分とはいえない.
Copyright © 1953, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.