Japanese
English
綜説
癌の化学療法—殊に外科的立場から
Chemical treatment of Cancer
卜部 美代志
1
,
山本 恵一
1
,
高野 利一郎
1
,
綱村 史郎
1
,
宮崎 誠示
1
,
渡辺 憙市
1
,
津田 昇志
1
Miyoshi URABE
1
1金沢大学医学部第一外科教室
pp.241-253
発行日 1962年4月20日
Published Date 1962/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407202874
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緒言
悪性腫瘍の治療においては,近来ようやくその曙光をみとめるに至つたかの感があり,殊に癌の化学療法において,最近優れた制癌剤が相次いで発表され,一部の症例に対しては,すぐれた効果を修めている.しかし現段階では,なお,化学療法単独で人癌を完全に治癒せしめえたものはないようである.
癌根治の決定的手段でないという点では,外科手術もまた,放射線療法および化学療法に比べて著しい差異はないのである.しかし,今日激増する癌患者を前にしては,たとえ決定的な治療法がないからといつて,手をつかねているわけにはいかないのが私共の現状である.従つて,一方では徹底的な根治手術が主張され,その結果として,早期手術より,さらに前癌状態としてみとめられる諸疾患の外科的治療までが強調されると共に,他方では,外科手術と諸種の併用療法が考案検討されている.
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