医学の話題
Rh因子,他
X
pp.40
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910664
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先日某新聞に,米国の1女性が日本人の新産児に,愛の輸血を行い,一命を取りとめたという記事があつた。これは胎児赤芽細胞増加症という珍しい病気の赤ちやんに,交換輸血をしたということで,日本では稀なことに属する。
人間の血球にはRh因子というものを持つている人といない人とがあり,人種により多少の差はあるが,日本人では約85%がRh+,約15%がRhーである。Rh+の男がRh-の女性と結婚して妊娠した場合,Rhは優勢遺伝して胎児もRhとなり,これが胎盤循環を通じて母体に移行し,母体に抗体が出来る。これがまた胎児に逆行して胎児の赤血球を溶血し,重症の貧血,黄疸及び未熟な核を有する赤血球が増加する病気となる。この場合,妊娠は早期に中絶するか,または新産児は間もなく死亡するので,分娩後出来るだけ早くRh+の血液をRh-の血液で完全に置換する必要がある。交換輸血といつても,臍から20cc位入れては用量を出して捨てるということを繰返えすに過ぎない。
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