医学の話題
猿の眼,他
X
pp.49
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910735
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西洋人が書いた日本人や中国人の漫画を見ていると,矢鱈に目のつり上つた人相になつていて苦笑する。吾々東洋人の一重瞼が西洋人には非常に印象的なのであろう。事実西洋人は殆んど二重瞼であるが日本人は半々で,韓国人では多少一重瞼の方が多くなつている。一重,二重の差は勿論遺伝因子によるもので,二重瞼の方が顕性であり,一重瞼同志の夫婦の間には二重瞼の子は出来ないといわれている。
眼瞼の組織は外側から皮膚,眼輪筋,瞼板,結膜という順に出来ているが,一重瞼は皮膚と瞼板との結合が弱く二重瞼はその結合が比較的強いことによつておこる。最近流行の二重瞼の手術はそこに瘢痕を作つて,皮膚と瞼板の結合を強固にすればよいわけであるが,逆に二重を一重にすることは困難である。また上眼瞼の襞の続きが内側の目頭にかけて下方に入り込んでいるのを蒙古襞(瞼鼻皺襞)というが,これがある為に東洋人の眼がつり上つて見えるのである。
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