医学の話題
“唾の魔力”,他
X
pp.72
発行日 1959年2月15日
Published Date 1959/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910801
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聖書に,唾を泥でこねて盲人の眼に帳りつけ,シロアムの池で洗つたところ立所に眼が開いたという話がある。これは勿論キリストの尊い唾であつて俗人の唾にはかかる魔力はない。袂の“くそ”を唾で丸めて傷口にこすり込むと直ぐ治るというので祖母がよくやつてくれたが,汚いと思つただけでその霊験あらたかであつたかどうか忘れてしまつた。
唾の成分は93%までが水で他にムチンと上皮細胞の一緒になつたもの,澱粉分解酵素であるプチアリン,カリウム塩を主とする無機物質等が主なるものだが,面白いものは最近有名になつた耳下腺ホルモンパロチン様物質と尿素とである。尿素と云えば勿論尿の主成分であり,唾の中にこれがあることは唾も排泄機構に関与していることを示すものである。
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