特集 看護業務の向上をさぐる—その検討の中から
Ⅰ.看護業務内容をどう検討するか
タイムスタディを行なって
小原 良衛
1
1国立京都病院
pp.31-34
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911647
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1.はじめに
10年後には看護婦数の不足が解消され,飽和状態になるはずであると,当時ある会議の席上で聞かされた。それ以来,10年後に希望と夢を托して一日一日が過ぎ,いよいよその時期を迎えようとする今日,私どもがお互に顔を合わせると最初に出る言葉は看護婦の不足である。「あなたの病院で採用しない人があつたら,どんな人でもいいから回してほしい」などという会話が交わされる。これらは今の4:1の定員を充足する頭数さえ足りないための,総婦長連中の「うめき」声に他ならない。そして,日本中の病床数を当一の看護婦の頭数で割つて出したといわれる4:1という数が,果して高度に進んで行く医療,看護の現況に合うものか否かを,批判する余裕などあろうはずがない。
こうした現況の中には,希望もなければ理想もなく,全く深刻そのものである。こんなはずではなかったのにと,10年昔のこの言葉を本気で信じて来た自分のおろかさを,今になって憤慨しているのは,私一人であろうか。絶対数が不足しているならば,当然計画的に養成数を増加しなければならないが,それは学院を新たに新設したり,既設の施設の一クラスの人員を増やすなどという手段で,一応は解決されるかもしれない。また,その一部はすでに実施されつつある。しかし,増加させるべき計画数は,あくまで現在の4:1という基準を充足させるだけのものであるにちがいない。
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