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タイム・スタディによる給食業務の検討と複数献立について
佐々木 澄夫
1,2
,
藤原 義輝
3
,
真木 敏郎
3
1厚生省中国医務出張所
2国立広島療養所
3国立広島療養所給食課
pp.15-23
発行日 1957年1月1日
Published Date 1957/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201185
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1.はしがき
病院運営における労務管理は,極めて広い意味で従業員の勤労意慾を昂揚し,これを維持するに必要な融和とか,親睦等の人間関係を対象とするものであることはいうまでもないことである。従つて最近病院管理の合理的運営を目的として,広く応用され始めたタイム・スタディ等も調査内容が拘束時間内の休憩休息時間を含む,全業務時間の実態把握であるだけに,調査対象職員の職種,性別,年令による個人的或いは集団的心理情況の勘案を誤ると,屡々その目的に対する誤解や反目にあい,結果は客観的資料を得られないのみならず,かえつて能率向上を阻む悪感情すら底流するに至るおそれがある。
我々は前後数回にわたつて,療養所の合理的運営に資するために,看護業務のタイム・スタディを実施した経験から,全く同じ方法をもつて給食業務に科学的な検討を加える目的で,昭和29年2月に第I回の全炊夫の追跡調査を実施したけれども,結果は看護婦の場合と違つて,平素より著しく能率の向上した業務実績を得た。これは調査対象が看護婦の場合は一部の人員であり,炊夫は全員であることと,炊夫が看護婦より平均年令がはるかに高く,処世的なかけひきに長じているだけに,一斉業務内容の測定記録になると,同僚間の競争意識が先き立ち,調査期間内は平素より働きがめざましく,能率が向上したためである。
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