Nursing Study
開放的環境における妄想患者の看護について
中西 よし
1
,
湯沢 初枝
1
1群馬大学医学部精神神経科
pp.34-38
発行日 1961年11月15日
Published Date 1961/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911505
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私達の精神科病棟が全面的開放に踏切つてから1年半になり,今私達は鍵と鉄格子のない病棟で精神病患者の看護にあたつております。閉鎖病棟での看護になれて来た私達にとつては,それ迄のいろいろな看護上の経験から全面的開放に簡単に賛成できたわけではありませんでした。特に妄想のあるような患者の場合,もし開放になつたら,毎日毎日帰宅要永や退院要永で困らせられるのではないだろうか,開放前は適当に受け流したり「受持ちの先生にお話ししておきますから」という程度で,少くも看護上では特に問題もなく,又それでいいのだと思つてきたわけであります。鉄格子の病棟に閉じ込められた精神病患者,特に妄想患者は帰宅要永があるのは当然なのだから逃げられないように鍵の管理に注意していることが精神科看護婦の主要な仕事の一つだと思つてきた位であります。無断出院のおそれという点だけにも大きな負担を予想せざるを得なかつたのであります。はたして開放によつていろいろ看護上困難な問題にぶつかりました。この開放に到る迄の経過及び開放当初に起きた問題についてはすでに大塚が発表致しました—看護学雑誌第24巻10号—開放的看護の積極面,又その成果についてはすでに多くの報告がありますが今回私達はその看護上大変な面と,それに対してどのように看護したかという点についてのべたいと思います。
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