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研究と報告
恋愛妄想と嫉妬妄想の併存例—恋愛妄想の臨床的研究(その2)
Über die Fälle mit dem Liebes-und Eifersuchtswahn zusammen: Ein klinisches Studium über den Liebeswahn (Ⅱ)
石川 昭雄
1
,
高橋 俊彦
2
,
小笠原 俊夫
1
Akio Ishikawa
1
,
Toshihiko Takahashi
2
,
Toshio Ogasawara
1
1藤田学園名古屋保健衛生大学精神衛生学教室
2名古屋大学医学部精神医学教室
1Depart. der geistiger Hygiene der Universität Fujitagakuen
2Psychiatrische Klinik der Universität Nagoya
pp.941-950
発行日 1978年9月15日
Published Date 1978/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202814
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I.はじめに
われわれは先に了解性の高いパラノイア的恋愛妄想22例を取り上げ,恋愛妄想がその当人にとって持つ意味により,「価値追求型」,「受容希求型」,「共存希求型」の3群に分類した1)。ところでそのうち第2の受容希求型恋愛妄想は全症例が既婚婦人であるのに対し,第1・第3群はほとんど未婚者,特に第3群は全例が未婚であった。このことからも解るように,恋愛妄想を既婚者のそれと未婚者のそれに分ける見方も成り立つであろう。今回は既婚婦人に発症した恋愛妄想を取り上げてみた。これらは上述の如くすべてわれわれのいう受容希求型恋愛妄想である。つまり患者が恋愛妄想の対象に求めるものは,自分のすべてを無条件に「受容」し,理解してくれる絶対的優しさであり,それを与えてくれなかった夫との対比でそれが求められる。結論を先取することになるが,この既婚婦人の受容希求型恋愛妄想では,見逃がされやすいことではあるが,その多くに嫉妬妄想が併存している。この小論は今まであまり注目することのなかったこの点に焦点をあてている。
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