Japanese
English
研究と報告
妄想型分裂病における恋愛妄想—恋愛妄想の臨床的研究(その3)
Über den Liebeswahn in der paranoiden Schizophrenie: Ein klinisches Studium über den Liebeswahn (Ⅲ)
高橋 俊彦
1
,
石川 昭雄
2
,
原 健男
3
,
酒井 克允
3
Toshihiko Takahashi
1
,
Akio Ishikawa
2
,
Takeo Hara
3
,
Katsumasa Sakai
3
1名古屋大学医学部精神医学教室
2藤田学園名古屋保健衛生大学精神衛生学教室
3静岡県立病院養心荘
1Psychiatrische Klinik der Universität Nagoya
2Depart. der geistiger Hygiene der Universität Fujitagakuen
3Provinzialirrenhaus-Yoshinso, Shizuoka
pp.1189-1197
発行日 1978年11月15日
Published Date 1978/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405202844
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I.はじめに—考察の対象
先にわれわれは比較的了解性の高い恋愛妄想の症例について報告した1,2)。そこでは多くの人々が分裂病と診断するような症例は大体除かれた。そこで今回は誰によっても分裂病と診断されるような症例を取り上げ考察してみた。しかし周知の如く分裂病の概念は広く,また恋愛妄想も分裂病のかなり多数において,しかも種々の時期にみられ,さらには病者の症状および人格も含めた経過がらはその出現が唐突としか思えず,了解が非常に難かしいものもある。今回考察の対象として選んだのは,それらの中では比較的了解できそうな感触を与えてくれる症例に限られた。当然のことであるが病型からいうと,妄想型が中心となっている。いずれも発病以後数年以上の経過が把握できたものであり,恋愛妄想の主題がある時期中心になったもの,またはそれが繰り返されたものであった。考察の対象となったのは表の如く16例であった。
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