特集 患者にとって看護とは何か
患者妄想
穴田 顯
1
1武蔵野音楽大学
pp.32-35
発行日 1975年1月1日
Published Date 1975/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661917160
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1974年の四季の1つ,もっとも苦手な酷暑の季節を,私は近代的な総合病院の病室で,一入院患者として過ごした.夏になると,若い入たちと海外に出る味を知っていた私は,日本の高温多湿な酷暑の季節を前に,やり切れないなと思ったり,40の坂を越し,人生の峠にあたって,心身を洗い直す必要も痛感していたので,私は病院の外来を訪ねたのだが,あにはからんや,消化器に見事に,数多くのカイヨウや,ポリープまで発見され,苦痛は自覚しないまでも患者と相なったわけである.
過去に,幾つかの医院,中小病院,国公立病院を知らぬわけではなかったが,今回の入院経験でとりとめないものではあるが,病院や病院の人々をゆっくり観察することができて‘体を預けきりで,外に何もすることのない生物人間—患者’の目は,異様な目であるとともに,健康な職業人には想像もつかない,アテのない所を見ているものだと,正直,退院した日常の人の私が今反省している.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.