臨床検査とその介助・8
食道検査
中山 恒明
1
,
有馬 忠正
1
1千葉大学第2外科
pp.53-60
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911082
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食道の病変を検査する方法としては,現今,レントゲン検査と食道鏡検査が主として行われ,更に最近では,アイソトープによる癌診断が行われて居り,以下,各々の検査法に就いて具体的に述べて見たい。
先ず最初に食道疾患には,どの様な疾患が多いかを見ると,私の教室の最近11年間の食道疾患外来者数は第1表の様に総計3,333例で,癌患者が2,676例,食道神経症(食道ノイローゼ)が339例で,他は比較的少く,噴門痙攣症,食道炎が続いて居る。この表から見ても分る様に食道検査の目的は悪性疾患である癌との鑑別診断が重要な事で,特に何の器質的な所見のない食道神経症や,その他の良性疾患との鑑別は,食道疾患の初発症状(第2表)が食道神経症の主訴と酷似して居るので,食道疾患の診断に,自信を以て答える為には,精細な診断方法が必要となつて来るわけである。
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