隨想
デンマークを解剖する
山下 九二夫
1
1国立東京第一病院外科
pp.61-63
発行日 1960年4月15日
Published Date 1960/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911083
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私がデンマークのコペンハーゲンに到着してから4ヵ月が経過しました。今さら通信第1報でもあるまいと思う方もあるかもしれませんが,私が今迄敢て筆をとらなかつた理由の一つは私にはデンマークが余りよく分らず,ちようど鳩バスで東京を一周した外人が,「東京は神社とお寺の多い街である。」などと愚にもつかない報告をするように,とんでもない皮相的な解釈をしたくなかつたからです。4ヵ月たつた今日でも到底理解したとは申しませんが,到着した当初のように,デンマーク礼讃論を一くさり述べて吾が事終れり,とするわけには到底いかないと,気がついただけでも,まあましだ,と思つて此の通信を読んで下さい。
—解剖する—といつた以上にはまず,その外観を述べるのが解剖の講義のしきたりのようですから,ごく簡単にデンマークを御紹介しておきましよう。
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