連載小説
胎動期〔1〕
十津川 光子
,
久米 宏一
pp.45-50
発行日 1960年2月15日
Published Date 1960/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911037
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はじめに過去現在にわたり,日本の看護婦は博愛と奉仕のシンボルであり,天使の代名詞をいただいて表面は華やかに取扱われて来ましたが,人々の心の中に伝統的に看護婦という職業を蔑すむという気風が潜んでおります。その原因は……と考える時,浮んで来るのは現代社会に未だ存在する部落民のこと,或る多くの人々の心にまだ破戒の丑松を作り上げている如く,看護婦の場合も,そうした或る多くの人々の心に,昔から蔑すまれつづけている目に見えない何かがあるのです。
そうした問題と,多くの看護婦たちの,社会性に乏しいということが如何に看護婦自身の明るい進歩発展を妨げ,又一方,そうした看護婦が如何に非人間的な条件のもとに利用されているかを描いてみたいと思います。
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