連載小説
胎動期〔5〕
十津川 光子
,
久米 宏一
pp.57-61
発行日 1960年6月15日
Published Date 1960/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911115
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団結の芽
3号室の板戸をがらがらとあけたとたんに,むつくり顔を上げた勢津があおただしく手招きして春子を呼んだ。
「お帰り!早く早く春子さん,大ニユースなのよ」勢津の大ニユースには慣れ切つて大して驚かなくなつていたが,洋子を中心に部厚い写真帳を拡げて坐つている室友たちは,ひどく興奮していた。
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