扉
一定された看護の手順
pp.1
発行日 1960年1月15日
Published Date 1960/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911008
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10人10色は容姿だけではない。その性格も考え方も行動も又そのように違うものであります。容姿の違いはむしろ変化があつてたのしいし,その他の違いもそれぞれ個性又は特性として生かされ,愛され,有効に作用し合うものです。ただ,病院のような組織体の中で,チームメムバーとして仕事をする時にはあまり個性の強い人や,極端に他と異つた行動をとる人はチームの調和を欠き,効果は逆行するので歓迎されません。
看護業務のあり方にしても,病院によつてまちまちであります。「看護婦による看護」という実に奇妙な言葉をもつてそのあり方を強調しなければならなかつた頃から,「完全看護」,そして今日の「基準看護」に至つている次第ですが,もちろんこれらは,社会保険診療に基く医療費の関係から生れた言葉であつて,こんな種類の特別な看護があるわけではありません。ただ,病院における看護のあり方を少しでも向上させ,改善させて,患者の福祉につくしたいという目的から考え出された1つの手段としての「看護のあり方」であるのです。何の病気で,どの病院に入院しても,その病人の病気による特別の症状のための医療処置や看護は別にあるでしようが,すべての病人がうける基本的な看護は必ず誰にも与えられなくてはならないものです。大・中・小病院,国公私様々の経営体系をとるわが国の病院の場合には,この基本原則すらすべての病院で満足に行われていない現状であります。
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