連載 食塩にまつわる新知見TOPICS①
健康であっても体内のナトリウム量は一定でない?
-組織局所に蓄積するナトリウム
北田 研人
1
Kento Kitada
1
1香川大学医学部 薬理学
pp.102-106
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.32118/cn147010102
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連載開始にあたって―はじめに
食塩のとり過ぎが体に悪い,というのは広く知られている.とくに,過剰な食塩摂取が高血圧のリスクとなることは有名である.極端な減塩も体にはよくないが,食塩摂取量が目標値より多い日本人においては,減塩が重要である.
食塩と健康に関する研究の歴史は長く,教科書的あるいは一般常識的知識も存在する分野である.たとえば,「健康であれば生体内のナトリウム・水バランスは一定に保たれている」,「生体内のナトリウム・水バランスは腎臓によって調節されている」,「塩辛いものを食べると口喝が生じ,飲水量が増える」,「食塩をとり過ぎると尿中ナトリウム排泄量が増え,ナトリウム利尿により尿量が増加する」などがあげられる.
一方,最近の研究では,これら食塩にまつわる知識に関して,概念の修正が必要であることが示されている.本連載では,「第1回:健康であっても体内のナトリウム量は一定でない?」,「第2回:食塩摂取量が増えると飲水量は減少する?」を中心に,新しい食塩に関する新知見:TOPICSを紹介する.そして,最終回となる第3回では,これら新しい食塩にまつわるコンセプトをもとに,食塩のとり過ぎが体にどのような影響を及ぼすのか,最近の研究,今後の検討課題なども含めて議論したい.

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