口絵
眼外傷の救急処置
中島 章
1
1順天堂大学
pp.5-12
発行日 1958年11月15日
Published Date 1958/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910723
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眼科は急患の少い科であるが,急患の大部分は眼外傷である.眼外傷の頻度は単位面積当りにすると他部分の数倍に達する.これは眼球と云う大切な器官がうすい粘膜を介して体表に露出しており,これを保護すべき瞼が常時これを被つているわけではないためと考えられる.従つて,ごく小さい異物が飛び込んでも眼では外傷になるし,他の部分では問題にならぬ程度の刺切創も,これが眼球に起れば失明という大事に至る事も稀ではない.角膜表面の小さい傷も視力障害をのこす原因となる.このように眼の外傷の場合には,傷の程度に比して,後に障害をのこす危険が他部に比して非常に大きい事は記憶の要がある.同様の理由で,眼外傷に起因する化膿は必ず視力障害や失明の原因となる.従つて眼の外傷の処置に当つては化膿に対する対策を特に充分にすると共に,外傷の程度の判断を慎重にする必要がある.
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