Japanese
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特集 救急患者の取扱い方
四肢外傷の救急処置
Early treatment of the traumatized extremity
鈴木 勝己
1
,
磯見 明
1
Katsumi SUZUKI
1
1関東労災病院整形外科
pp.923-927
発行日 1967年7月20日
Published Date 1967/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204346
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はじめに
運動器官をあつかう整形外科医にとつて,そこなわれた機能をいかに回復させるか,または,いかに最小限の障害にとどめうるかが最大の使命である.もとより,生命の安全に思いを馳せることは医師として当然のことである.しかし,この点に意外な落し穴があるように私たちは感じている.生死が問題となる時点では,どの患者に対しても,生命を救うために許されないことはなく,それは患者の意志や社会的背景のいかんによらず行使されるべきであろう.さて,生に対する不安が除かれた時,その他の処置は生命に別条ないからと思うことがないだろうか.整形外科医として患者のこれからの生活—それは救われた生命の場である—を考えれば,こうした心のゆるみを生じる落し穴について一考せざるをえない.
四肢外傷の治療効果は,受診時における治療計画のたて方と,見通しのたて方いかんにかかつているといつても過言ではない.それは救急処置の限界と,その影響を認識することによつてできる.一般的にいつて,何もかもを一次的に治療しようとする傾向があるので,むしろ何回にも分けて系統的な治療をするという考え方に慣れる必要があることを強調したい.そして,このことにあたつて,患者の年齢・職業・希望などの社会的,経済的背景を考慮すべきであろう.同一の外傷でも,それらによつて異なつた方針を立てる場台も出てくるからである.時には,機能的に次善の治療法がより好ましいこともありうる.
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