Japanese
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特集 救急患者の取扱い方
手の外傷の救急処置
First-aid treatment of the hand injury
荻原 一輝
1
,
大城 力造
1
Kazuteru OGIHARA
1
1神鋼病院整形外科
pp.937-942
発行日 1967年7月20日
Published Date 1967/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204348
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はじめに
手の外傷は,日常きわめて多く接するにもかかわらず,受傷直後には,大学病院や大病院を訪れることは珍しく,このため特別な病院(例えば工場災害などを多く取りあつかう病院)を除いては,一般外科医や整形外科医といえども,その救急処置について十分な訓練をうける機会に恵まれているとはいえない.
このために実際に手の外傷を取あつかうことの多い第一線の医師は,いわゆるminor surgeryとして,深い興味もなく,慢然と処置をしている例が多くないだろうか? いまだに,創をみれば無分別にマーキユロクロームを塗布してこれで消毒が足つたとし,術者や患者の手の十分な無菌的処置を行なわずに,無理矢理に一次縫合を行なつて壊死や感染をきたしたり,あるいは,腱の断裂に対してなんらの「手の外科」的な考慮を払うことなく,太い絹糸で縫合したり,骨折に対しても,たんに取りあつかいや手技上の便宜から,深い考慮もなくキルシュナー鋼線を関節をとおして刺入したような例は枚挙にいとまがない.
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