シンポジウム 顔面外傷
顔面外傷の救急処置
塩谷 信幸
1
Nobuyuki SHIOYA
1
1横浜市立大学医学部形成外科学教室
pp.401-406
発行日 1973年5月25日
Published Date 1973/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904839
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
物事を成し遂げるには手順が大切である.近年自動車の普及とともに,自動車事故も激増した.交通外傷の特色は,一言にいえば多発性である.一度に多数の死傷者が発生する.そしてまた,それぞれの負傷者にしても,必ずしも損傷が一部分に限局してくれない.いわゆるmultiple injuryの形をとる.この際救急治療として動員される個々の知識技術は外科学の常識である.問題は,それぞれの知識がいかに手順よく行なわれるかにある.
現代は医学の細分化の時代である.一つの科にとつてはルーティーンな事柄であつても,他の科の専門医には疎遠な事柄も多い.したがつて多発性の事故に対しては各科のteam workが理想であろう.しかし,そうばかりもいつていられない.救急室に外傷患者が,かつぎ込まれてきた時,そこにい合わせている医師がまず患者の全身状態を把握し,直ちに適切な処置を行なわなければならない.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.