Nursing Study・13
疲労の研究(その2)—血液諸性状の変化について
山田 孝治
1
,
佐々木 里子
1
,
綠川 季子
1
,
依田 昌子
1
,
佐野 幸子
1
,
山口 美知子
1
,
成田 静子
1
1東京鉄道病院化学検査室同看護学院化学部
pp.6-15
発行日 1956年12月15日
Published Date 1956/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910246
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はじめに
年々歳々学窓を巣立ち,社会人として社会に送り出されて行く青年男女が,学窓より社会人となる転換期に,精神的肉体的に受ける衝撃は相当大である事は容易に想像出来る。疲労の研究も,近年益益盛んに生理的,生化学的,心理学的に産業体育等広範囲に研究されているのであるが,未だそれが学窓より社会人となる過程を促えての例を見ない。
我々は,東京鉄道病院看護学院学生が,高等学校の延長である予科期間を対照に,実習場に出て,社会人と接する第一歩より日を追つての疲労疫を,尿のドナヂオ反応とクレアチニン排泄量に就て研究し既に本誌に発表した。即ちドナヂオ反応では,対照例が正常範囲内にあつたものが,実習に出て1週2週では極端なる上昇を示し,最高点24点に達する例も多数あつたが,3週頃より漸時下降し,7週10週では予科期間かこれをやゝ上廻る程度に迄回復した。ドナヂオ反応値に対しクレアチニン排泄量は,1週2週では対照例に比較し之と同じかかえつて之を下廻つた成績であつたが,ドナヂオ反応値の下降し始める3週頃より上昇し5週を中心に下降し10週では対照値に大体復した。対照例は高等学校の延長である予科期間を,春夏秋に分け測定したものであるが,之はドナヂオ反応値とクレアチニン排泄量は常に平衡して変動していた。
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