Nursing Study・8
重度脊髄損傷患者のレハビリテーシヨンについて
小野 殖子
1
1東北労災病院
pp.12-16
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910141
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まえがき
脊髄損傷により完全あるいは不完全麻痺をおこした患者が,適当な処置・環境のもとで急性期を過し,幸にして症状が固定してきた時期に及んで当然考えられる最大の課題はレハビリテーシヨン(更生指導)である。
外傷により急激かつ完全に今迄の健康だつた生活から隔絶を余儀なくされ,臥位のまゝ多くの苦痛とたゝかつてきた患者,ことに脊髄完全横断麻痺患者にとつては生活動作のほとんどすべてに他人の手をかりねばならず,しかも麻痺は生涯恢復ののぞめないものであり,ついには生活に対する自信をも喪失し,退嬰的・自暴自棄的となり,はなはだしい場合には自ら生命をたつほどの精神状態におちいることさえ見うけられるのは,まことに悲惨な運命といわざるをえない。
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