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職場の美容のあり方—看護婦のために
安田 利顕
pp.68-71
発行日 1956年7月15日
Published Date 1956/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910153
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自分が美しくなりたいと願わない人はいない。もつと,つきつめていうと,自分を美しくみせたいという気持は,どんな女の人でももつている。事実,誰でも自分を美しくみせる権利はもつている筈だし,自分の美しさを現わす努力は,すべきである。ところが,そういうことに無関心であることを正しい道とみせたがる人々がいる。ところが,こういつた人に接した場合,何か不自然なものを感じとるのは私だけであろうか。
といつても,美容の目的は単に美しくみせればよいといつたものではない。野辺に咲く一輪の花を眺めて美しいなと思うが,切りとつて手にとつてみると,案外美しくないのに驚くことがある。それは,環境によくマツチした美しさをもつているからである。反対に,華やかな色をしたダリヤも静かな,落着いた庭の雰囲気をこわすことがある。美容—オシヤレ—もこれに同じである。自分の周りの雰囲気とよくマツチしてこそ,その効果をあげることが出来るのである。殊に働く婦人では,この点に留意することが大切である。というのは,単に自分で美しくみせるだけでは駄目で,それが仕事の上で接する多くの人々に好感を与えるのでなければ,本当のオシヤレということは出来ない。すると,毎日の体の動き,表情,自己表現の形にも気をつけなければならない。
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