講座
レハビリテーシヨン
白井 伊三郞
1
1昭和醫大
pp.25-29
発行日 1951年9月10日
Published Date 1951/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200139
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病氣や怪我の爲癈疾者になつたり,不具者となつて働くことが出來なくなつたもの或は働く力が弱くなつた弱體者や肢體不自由者に對しては勞動者災害補償保險,健康保健,厚生年金,恩給法,生活保護法等があつて夫々かゝる人々の生活を保障する制度があります。
併し健康で毎日働いている人々でさえも生活苦に喘いでいる敗戰國日本の状況ではこの樣な保障金丈では健康にして文化的な最低生活さえも望み得ないことは申上げる迄もないことゝ思います。從つて經濟的な面からもかゝる身體的缺陥乃至弱點をもつ人々から何らか適當な職業に就いて生活圏外に落伍しない樣にすることが要望されるものでありますが,一般にかゝる身體障害者には精神的な障害も伴つてくるのが普通であります。從つてその生活苦は倍加されて言語に絶するものがあります。この精神的方面に對してはどうしても働くことによつて社會の一員としての役割を果す愉快さと生甲斐を感じさせ,かけがえのない尊い勞働の悦びを體得せしめることが必要ではないかと思います。
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