増刊号 包括医療と臨床検査
第2章 各論―疾患の診断治療のために最小限必要な検査
11.胃潰瘍・十二指腸潰瘍
川口 実
1
1国際医療福祉大学付属熱海病院内科
pp.1021-1025
発行日 2003年9月15日
Published Date 2003/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101565
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はじめに
DRG/PPS(Diagnosis Related Group/Prospective Payment System)が取り入れられようとしている.その目的の1つは医療費の削減であり,もう1つの目的は不必要な検査・投薬の規制である.
臨床医の立場からいえば,どのような疾患でも患者一人一人それぞれ病態が異なり,画一的な検査・治療はありえない.しかしながら,その最大公約数的な診断・治療はある.この最大公約数的な部分を中心として,これに各病態に応じた診断・治療を加えた包括的医療となることを期待する.
DRG/PPSはアメリカでは入院患者に対し適応されている.消化性潰瘍の場合,多くは入院を必要としない.また出血や症状が強く入院が必要となる場合でも多くは入院前に内視鏡検査を行い,診断が確定してから入院となる.外来の診断・治療にかかる費用が出来高払いで済むのならば現在の診断・治療が大きく変わることはない.
しかしDRG/PPSが日本でどのように行われるのか明らかではないので,本論文では外来,入院にかかわらず胃潰瘍・十二指腸潰瘍全般について無駄な医療を省き,効果的な最善な医療を行うという立場から述べることとする.
なお,胃潰瘍,十二指腸潰瘍はその病態においてかなりの違いがあるが,診断法,治療法においては共通点が多く,また一般に両者を合わせ消化性潰瘍と称していることから,今回は併せ述べることとする.
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