病床児慰安実技講座
お話とお遊び(完)
粟津 実
1
1児童文化財研究所
pp.32-35
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910054
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病床児慰安実技講座を開講してから早1ヵ年になる。「お話とお遊び」と題したものの,予定の半ばに過ぎない内に,12の回を重ねてしまつた。振返つて見ると慙愧にたえないし,何だか間口が広くて児童病慰のデパートのような感じがする。あれもこれもと思う教材は無盡である。私の門下生で20〜30年と喰附いている人を見ると,自分が罪な人間のようにも思える。しかし私は生きている,生きているから創作をする,創作するから昨年の本誌3月号に発表したおヒナ様は,今年からいうと1955年型で古い。自動車は1年の前後で型式が変つた時代もあつた。今こうして執筆している私は,京都市の看護婦学校で,児童病慰看護学の実技として,クリスマスのデコレーシヨンを教えているが,A校で教えた折紙サンタクロースが,B校では多少変つている。それはいわば進化である改良である。原作が悪いからアヤフヤだから改良があるのだといわれたら,私も申開きようがないが,もし工作の如きものが不動だつたら,この世の中の文化は足踏みをすることになるだろう。カレンダーのめくりと創作は歩調を合せている。私としてはその歩調を乱すことすらある。創作はセコンドより早いからだ。
児童病慰看護学は,児童心理や精神衞生を基盤として,精神身体医学の分野として,病児のストレツスの調整,斗病力の誘致養成に必要な科学である。
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