病床児慰安実技講座
お話とお遊び(4)
粟津 実
1
1児童文化財研究所
pp.32-36
発行日 1955年6月15日
Published Date 1955/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909849
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童話コース
広虫姫とすてご 子供は親によつて保育さるべきだのに,世には「棄児」というものがある。子供は健康であるべきだのに,世には病児というものが多い。病児はその意味で,健康から棄てられた子供であるといえる。棄児には拾われるという運命があるように,病児には全快という将来がある。
今から1190年前,和気広虫姫(和気清麻呂公の姉)は棄児83人を拾つて自分の養子となして,葛木首(かつらぎおびと)の姓を与えて養育した。頃は惠美押勝(藤原仲麻呂)の反乱後とて,人民は飢餓に追われ,其上悪疫が流行したので,愛児を養うすべもなく,棄児する者が続出したのである。
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