講座
性格とその異常(2)
高木 四郎
1
1国立精神衞生研究所
pp.29-31
発行日 1956年2月15日
Published Date 1956/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910053
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〔一〕
前号では主として周囲に迷惑を及ぼすようなタイプの性格異常について述べたが,今回はもつぱら,その異常な性格の結果,自身が悩まなければならないような種類の精神病質について述べよう。もちろん,このような分け方は便宜的なものにすぎないので,この両者はハツキリと区別できるわけではない。
性格の分類の仕方にはいろいろあるが,クレツチユマーというドイツの精神医学者は人間の性格を分裂気質と循環気質の二つに大別した。これは,代表的な遺伝性精神病である精神分裂病および躁欝病の特徴と結びつけて性格を分けたのである。つまり,精神分裂病,躁欝病という精神病の特徴を,それぞれ稀薄な形で持つているのが分裂気質,循環気質だと思つてよい。分裂気質というのは,内気,無口,非社交的,敏感,理想家肌等の傾向を示す性格傾向であり,循環気質というのは社交的,現実的である程度気分の浮き沈みが顕著な性格傾向をいうのである。これらはいずれも正常人の範囲内にあるものと考えられるもので,われわれはだれでもどちらかの傾向をより多く持つているものといつてよい。
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