講座
病人に対する態度並びに治療としての面接法について
奈良林 祥
1
1杉並西保健所
pp.45-49
発行日 1955年8月15日
Published Date 1955/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909895
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今日では『ノイローゼ』という言葉が一つの流行語になる程にいわゆる神経症は我々保健,看護の仕事にたずさわる者にとつて,その専門課目の如何に拘らず,深い関心と理解とを必要とされて来ている事柄なのではなかろうか。文化の程度と神経症の発現率は平行するといわれる如く我々の身近かにそのようなケースが多いからである事も勿論であるが,同時に従来の余りにも専門化し,分業化し,心と肉体とをばらばらなものとしてのみ取扱い診断し,治療しようとして来た医学に対する一つの反動(良い意味での)として現われた精神身体医学的な立場から病気を見ようとする傾向に対する心構えとしても大切な事であると思う。
もとより一トロに神経症とはいつてもその定義或いは鑑別に非常に深い専門的知識と洞察力を要求される事は云うをまたないが,私がここで取り上げようとする事は,何か神経症の本質や病理学的な検討についてではなく,確かに一つの治療法には違いないが,それでいて病人或いは健康相談ケースを取扱う上の我々の基本的態度としても取り入れられて然るべき方法についてである。
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