医学のあゆみ・45
精神病の化学療法
杉 靖三郞
pp.37
発行日 1955年8月15日
Published Date 1955/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909892
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“馬鹿につける藥はない”とか“バカは死ななきやなおらない”とかいわれていたが,精神病にも効く藥があらわれてきた。冬眠麻酔につかうクロルプロマジメと,血圧を下げる藥のローウオルフイヤ(印度蛇木)が,それなのだ。
藥も,20世紀に入つてから大いに進歩して,それまでは,もつぱら草根木皮とか,鉱物,石などであつたのが,動物からホルモン剤,植物からビタミン剤がつくられ,また,試験管の中で合成される化学藥が,いろいろつくられるようになつた。また,カビからとれる藥の抗生剤なども,ペニシリンがあらわれて奇蹟的な効果のあることがわかり,ついに藥では治らないとされていた肺結核にも,ストレプトマイシンやヒドラジド,パスなどの藥があらわれて,結核藥は時代の寵児になつたことは,ごぞんじのとおり。
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