講座
最近の耳鼻咽喉科学の進歩
大和田 健次郞
1
1慶応大学
pp.10-13
発行日 1955年3月15日
Published Date 1955/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909764
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1.抗生物質
抗生物質が出来て,耳鼻科領域に用いられ良好な結果をもたらしたことは既に御存知の事と思う。然し,菌は次第に抗生物質に対する耐性を持ち,更に耳鼻科領域では,慢性疾患が多いので,他の領域に於ける如く有効に作用しなかつた例も多い。
抗生物質も最近は次第にその種類を増加してきているが,非常に広く使用されているためもあつて,耐性になつている菌が多い。最近の外科領域の菌の感受性をしらべてみると,ペニシリンやストマイには耐性を示すものが多く,テラマィシン,クロロマイセチンに感受性を持つ菌が多くなつている。そこでこれ等の抗生物質を溶媒に溶して点耳用,耳浴用,副鼻腔の煙霧療法の局所使用剤として用いられ比較的良好な結果を来している。
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