講座
リウマチと神経痛
伊藤 久次
1
1国立伊東温泉病院
pp.14-18
発行日 1955年3月15日
Published Date 1955/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909765
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1.リウマチとは何か
「或るお医者さんへ行つたら神経痛だといわれ,別な病院では同じものをリウマチですと診断された。どちらが本当ですか!」と聞かれることがよくあります。リウマチの神経痛とは言葉の解釈次第で同一疾患のグループに入れられたり,又違つた病気とされたりするらしいのですが,広義に申せば神経痛もリウマチの1つであります。学者によつては神経痛を神経リウマチと呼ぶ人もある位で,関節リウマチ,筋リウマチがある以上,神経リウマチと申して差支えないが,今の所は神経痛のが一般的でしよう。元来そのリウマチとはギリシヤ語で「流れる」という言葉に由来し,その昔,脳から何か人体各部に流動する病源物質によつて惹き起される疾患であると考えられたことが最初です。最近の学説,例えばコムロ(米)の定義では「筋肉骨格系統のいたみとこわばりをリウマチと称します。それですから色々とありまして,臨床症状から見ても,
1)全身症状を主としたもの…リウマチ熱(英米)—急性関節リウマチ(独)
2)慢性関節炎を主としたもの…リウマチ様関節炎(英米)—慢性関節リウマチ(独)
3)関節の退行性変化を主にしたもの…骨関節炎(英米)—変形性関節症(独)
4)関節外のリウマチ…結合織炎(英米)その他—筋リウマチ,神経痛,その他(独)
5)リウマチに類した症状を示すものという様に色々あります。(英米)とは英国や米国で用いられている分類(独)は独逸を云う。
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