医学のあゆみ・34
女性の喫煙
杉 靖三郞
pp.39
発行日 1954年8月15日
Published Date 1954/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909619
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戦後,ことにこの頃,女性の喫煙者が多くなつてきた。これは,おそらく見栄とか,社交とかのため,男女同権の潜在意識もあつて,深く考えることもなく,タバコをのむのであろうが,タバコにはニコチンなどが含まれていて,これが循環器やホルモン腺に対しデリケートに作用して,機能を乱すので,いろいろな障害をおこすのである。
タバコは,未成年者がのむことは禁じられているが,これは,発育しつつある子供に対して鋭敏に働きかけるためである。女性の場合にも子供の場合と同様に,鋭敏に作用するのであるが,これは,女性ではホルモンの関係が男性にくらべて著しくデリケートなために,その調和が乱されるので,容姿がおとろえ(皮膚はホルモン調節の鏡であるといわれ,ホルモンの不調和が鋭敏に皮膚の栄養にひびく),冷感症や不妊の原因になる(性ホルモンが失調をおこす)。そのため妊娠しても流産したり早産したりする。
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