医学のあゆみ・33
人工放射能
杉 靖三郞
pp.40
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661909600
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“ビキニの灰”は,世界じゆうをまわつて,いたるところに降りそそいでいるという。わが国でも,愛知県の渥美半島の伊良湖岬に降つた灰をしらべたところ,“アルフア線は認められず,ベータ線,ガンマ線だけが検出されたところから,これは天然のものではなく,人工放射能であることが,ほぼ確認された”という。
放射能というのは,放射性元素がこわれてゆくときに出す放射線で,これは原子核が不定的なために自発的に破壊してゆく現象である。あのフランスのキユリー夫妻が発見したウラニウムやラジウム(トリウム,アクチニウム)などが,これであるが,これらは,天然にある元素の破壊によつて放射能を出すものである。これらを“天然放射性元素”とよぶ。
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