発行日 1952年6月15日
Published Date 1952/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661907068
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國會や政府の一部に助看保規則を改正して,國家試験を廢止し,ナース養成と認可を府縣知事に歸し,養成期間も短縮しようとする萠しが,チラホラ見えるようです。いつかは表面化しそうに思われます。この際私たちが,シカと腹にすえておかねばならないことは,國家試驗不要論の根據は,「ナースは醫師や歯科醫師ほどに獨立した責任を負わされていない,補助的な役割だから」と言われている事實です。これは完全な復古であり,まわれ右です。世界中の文明國で,看護が醫療中で,醫師や歯科醫師の職務と對等の重要性と獨立性とを與えられていないところはありません。醫師は治療ができますけれども,看護については能力も資格もないのです。從來,ナースが醫師の從屬物として甘んじていたことは正しい意味の看護が日本にはなかつたというだけで,醫師の指圖どおりやつておけば十分というほど,看護は軍純なものではありません。一つのりっぱな專門技術と專門知識を必要とする獨立職業です。醫師の治療方針と背馳しないようよく連絡協調を保たねばならないというだけです。しかし日本の醫師は,ナースを自分たちの支配下にある從屬物視した時代や雰圍氣の中で育つてきた方ばかりですから,醫療の全責任は醫師にあり,ナースはその一部を醫師から託されている助手だと考えています。
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