とびら
地域へのとびら
堀尾 欣三
1
1公立井波総合病院地域リハビリテーション科
pp.601
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551100529
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富山県西南部に全国的に散居村で知られる砺波平野がある.広がる扇状地は,庄川・小矢部川の二大河川によって形作られた.最近,奈良の飛鳥京跡で行われた調査で,砺波地方と関係する新しい発見があった.それは長さ11.4cm・幅2cmの木簡で,「高志国利波評」と書かれていた.高志〔=越の国(北陸)〕が3つに分かれる前の時代に「利波評」があったということだ.「評」とは,後の郡のことを指す.この地域には高瀬遺跡という奈良時代の遺跡があるが,それ以前の飛鳥時代にこの地方と飛鳥の地との交流があったことになる.ひょっとしたらそれ以前にも人が住み,ひとつの地域で生活する人間集団を作っていたかもしれない.
そんな歴史に触れていると,今あるこの地域が600年以上の歴史の中で,様々な変遷を遂げて現在の地域になってきたことに思いを廻らしてしまう.先人たちの地域への思い入れや,名もなき多くの人たちの努力によって今の地域が成り立っている.この場所で,私が今,生きて理学療法やリハビリテーションとかかわり,この地で仕事や活動をさせてもらっていることに感謝せずにはいられない.
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