名詩の鑑賞
馬來乙女の歌える—イバン・ゴル 堀口大學譯
長谷川 泉
pp.49-50
発行日 1951年5月15日
Published Date 1951/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906861
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フランスの愛すべき詩人イバン・ゴルはアルサスに生れた。ドイツとフランスの兩方に文學的國籍を有する世界主義的詩人として知られている。彼は妻のクレエルと共にヨーロツパをくまなく旅行した。そのヨーロツパ旅行の土産が彼の詩嚢をこやし,彼の數多くの小説を生み出すかてとなつている。彼の詩や小説や戯曲は,その意味で,放空につちかわれた旅情の所産であり,かつはまた彼の愛妻であるクレエルとの合作である。ここにかかげたのは「馬來おとめマニヤナの歌える」と題する40連の連詩の冐頭の一節である。可憐な馬來おとめマニヤナの歌にたくした詩想をとるこの一連の詩は,その題名のしめすごとく,きわめてニキゾチツクで純情愛すべきリズムをもちながら,終りまで讀者の心をひきずつてゆく。
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