名詩鑑賞
新年に—ゲーテ茅野瀟々譯
長谷川 泉
pp.54-55
発行日 1951年1月15日
Published Date 1951/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906792
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ゲーテはただにドイツの詩人であるばかりでなく,すでに世界の詩人である。その代表作である大作「フアウスト」はもはや世界の古典である。おそらく世界文學の中で讀まなければならない古典の名をあげる場合に「フアウスト」の名を消し去ることは,何人も出來ないであろう。
また人は美しく熱烈な戀愛の書である「若きヴエルテルの惱み」の名をゲーテと切りはなすことは出來ないであろう。この書簡體小説の主人公ヴエルテルは戀人のロツテが許嫁を持つ身であるために戀に破れて自殺するのであるが,このヴエルテル熱病は一時歐洲の青年男女の間に風歴し,この作品はその後各國の文壇に多くの亞流作品を出している。
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