発行日 1951年2月15日
Published Date 1951/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906798
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保温
保温の第一歩は衣服であるが,衣服の保温性は,その原料,織方,着方によつて異るものである。原料からいえば,熱傳導率の小なるもの程保温力が大きい。いま空氣の熱傳導率を1とした場合,毛は6,絹は19,麻は30で,毛は絹や麻に較べて保温力が非常によいことがわかる。この熱傳導率は織方によつて大變異るもので,一般に含氣量が大きな織方程熱傳導率は小となる。これは空氣が最もよい熱の不良導體であるからである。含氣量を大きくするという點で,重着は意味がある。それも,なるべく空氣の層を大きくするように重着することが保温的である。こういう點で和服の方が洋服より温いのであろう。次に,衣服の保温力を左右する因子として,通氣性がある。通氣性の小なる程保温的であるが,あまり小であると,皮膚面の濕度が大きくなり,不愉快である。
以上の諸點から保温力を大きくするためには,一番外側に毛皮とか織目の密な毛織物をつけ,内側には含氣量の大きな衣服を適當に重ねることが合理的である。
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