発行日 1950年10月15日
Published Date 1950/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906719
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僕の恩師であつた野口英世博士は紐育の百萬長者の住む中央公園西側通りのアパートの2階に住んで居られた。夫婦仲もよく先生が時折研究所から實驗用の標本や組織檢査物や培養物などを携えて歸られることなどがあつたがよくその助手代りをして居られることも度度あつた。
先生夫妻は名の如く蚤の夫婦で夫人はよく肥え太つてしつかりした體格の持主であり,先生は日本人の内でも中肉ではあるが背丈け低い方であつた。僕がお尋ねするときは多くは夜であつた。先生は研究所で誰にでもお話しするのは英語で話され,日本語は餘り用いなかつた。此の點山川章太郞,大平得三さん達も困つて居られた。其の當時僕はまだ英語は不得手だつたので自然夜にお伺いすることが屡々だつた。
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