連載 話したくなる 整形外科 人物・用語ものがたり
第22回
「また病気は繰り返される:野口英世と梅毒」
小橋 由紋子
1
1日本大学医学部附属板橋病院放射線科
pp.571-572
発行日 2024年5月19日
Published Date 2024/5/19
DOI https://doi.org/10.18885/JJS.0000001793
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近年,梅毒感染者が急増している。コロナ禍が過ぎ,人の交流が増えたからなのか。日本全国軒並み増加,特に九州で多いとのこと。この梅毒,コロンブスがカリブ海のサンサルバドル島(新大陸)から持ち込んだという説が有力である(1492年に新大陸発見)。1493年にはスペイン,1494年にはイタリアで流行し始めた。当時のヨーロッパでは敵対している国のせいでこの病気が広がったとして,イタリアやイギリスは「フランス病」,フランスは「ナポリ病」,ロシアは「ポーランド病」などとよんでいた。なんともいい加減なことである。日本初の梅毒患者は1512年に大阪で見つかっている。マゼランが世界一周するより早く病気だけは日本に到達しているのがなんだかすごい。人間の本能の力といってもいいほどである。
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