音樂講座
「お蝶夫人」
山本 金雄
1
1NHK合唱団
pp.46-49
発行日 1954年12月10日
Published Date 1954/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200865
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歌舞伎といえばすぐ「勧進帖」といわれるように歌劇といえば,日本においては何よりもまず「お蝶夫人」が頭に浮びます.外国人の見た日本,それも長崎とはつきり指定され,明治初年の日本の民謠がいくつも出てまいります.子守唄の音楽に日本の「かつぽれ」のメロヂイーが出て来たり,ピンカートンというアメリカの士官にお蝶さんが悲しい身の上話しをするという時に「越後獅子」のメロデイーを使つたり,自殺をする時の音楽に日本の民謡「推量節」が出てきたり「お江戸日本橋」「宮さん宮さん」「君が代」等懐しい日本のメロディーが幾多出てくるが,皆その場面の状態とはちぐはぐに音楽が使われているが,そのメロディーを作曲家たるイタリアのジヤコモ・プツチーニがイタリヤ風にオペラ風によく編曲され演出されているので,日本人がきいても,オペラ「お蝶夫人」の中で,オペラを見ながらきけば,決しておかしくないのは,さすがに世界的な作曲家であります.
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