2頁の知識
ビタミンB群の知識
川崎 近太郞
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1公衆衞生院藥學部
pp.26-27
発行日 1950年6月15日
Published Date 1950/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906660
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ビタミンは一體いくつあるのか,ビタミンはまだまだ發見されるだろうか?これは誰しも抱く疑問であるが,最近話題になつているB12を考えると當然B1B2……とB12まで揃つているように連想される。研究の經路からいえば12番目のBがB12であるわけだが,命名されただけでその後の研究もなく或は研究の結果消失したものもあり,B1,B2,B6,以外は姿を消したと考えてよい。他のビタミンでもA2とかD2,D3,K4,K2と區別されるが此等は構造の似寄つた化合物で生理的効力も大して違わないのである。ところがB1,B2,B6は夫々全く違つた化合物で生理作用も缺乏症状も全然異なるものである。この他にBいくらといつた番號を付けないでフォール酸,ニコチン酸と化合物名をそのまゝ呼んでいる一連のビタミンもビタミンBの仲間と考えている。此等を總稱してビタミンB群と呼んでいるが,この仲間はまだまだ發見されそうだし,ビタミン研究の中心になつている。B群と云つても,それぞれのビタミンの作用も違うので一所にして呼ぶのも變だが歴史的に見てビタミンBと呼ばれたものが分化して行つたのであり,共通した點もあるのでビタミンB群又はB複合體の名稱が用いられている。
ビタミンBは鈴木梅太郞博士のオリザニン即ち米糠中の有效成分の研究から出發しているが,その初期の研究に於いて米糠からニコチン酸をも分離している。
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